英語で「それ」と言いたいのに、itとthisのどちらを出せばいいか迷うこと、ありませんか。
結論から言うと、違いは文法用語の暗記よりも相手と共有できている話題か、そして今ここで注目させたいものかで見ると整理しやすいです。
この記事では、itとthisの使い分けを会話の場面ごとにほどいて、電話・自己紹介・直前の発言を受ける言い方まで自然にわかるようにします。
まずは、それぞれの単語がもともと持っている役割から見ていきましょう。
itとthisが持つそれぞれの基本的な意味と役割

英語で「それ」と言いたい場面なのに、itとthisのどちらを置くかで手が止まること、ありますよね。
ここで先に押さえたいのは、2つとも日本語にすると似て見えても、英語では相手に向ける意識がかなり違うことです。
ざっくり言うと、itは“もう分かっているもの”を自然につなぐ言葉、thisは“今これです”と相手に見せる言葉です。
この最初のイメージが入るだけで、文法の細かい話に入る前でも判断しやすくなります。
| 語 | 基本イメージ | 相手への見せ方 | 日本語の近い感覚 |
|---|---|---|---|
| it | すでに話題にあるもの | 説明を続ける | それ・それは |
| this | 目の前に出して示すもの | 注意を向けさせる | これ・これね |
「それ」を指して状況になじませる代名詞「it」
itは、会話や文の流れにもう入っているものを、もう一度名前で言い直さずにつなぐときに使います。
相手の頭の中にすでにその対象があるので、わざわざ指差す感じはほとんどありません。
たとえば I bought a new laptop. It is very light. なら、2文目のitは最初に出た「新しいノートパソコン」を受けています。
ここで This is very light. にすると文法的に不自然とまでは限らなくても、「これ、すごく軽いんだよ」と、その場で見せる気配が少し強くなります。
つまりitは、対象を前に押し出すより、会話をなめらかに続ける役目が得意なんです。
英語学習では「it=それ」とだけ覚えてしまいがちですが、それだと使いどころが広すぎて迷います。
実際には、一度出た話題を受ける、状況から明らかなものを受ける、この2つを先に覚えるほうがずっと実用的です。
たとえば電話が鳴って It’s my boss. と言うとき、相手は「何のこと?」とはなりません。
この場面では、鳴っている電話の相手が誰かという話題が、その場の状況から共有されているからです。
itは“指し示す”より“受ける”感覚が強いと覚えておくと、かなりブレにくくなります。
「これ」と指し示して相手の注目を集める「this」
thisは、話し手が「今これを見て」「これが話題です」と相手の意識をぐっと集めるときの言葉です。
まだ相手の頭の中で十分に共有されていないものや、目の前にある新しい情報に向けて使われやすい語です。
たとえば This is my bag. なら、かばんを見せながら「これが私のです」と示す感じが自然です。
This is a good idea. も同じで、今出した案を相手にしっかり見てもらう響きがあります。
日本語では「これ」が近いのですが、英語のthisは単なる物の近さだけではありません。
時間的に近いこと、今まさに出てきた話題であること、話し手が“ここに注目してほしい”と感じていること、そういう近さも入ります。
たとえば会議で資料を開きながら This number is important. と言えば、「この数字を見てください」という意識がにじみます。
もし It is important. とだけ言うと、何が重要なのかは前の流れに頼る形になり、聞き手に少し不親切になることがあります。
ぼくたち日本語話者は、「それ」「これ」を場面でかなり柔らかく使い分けるので、英語でも同じ感覚で済ませたくなるものです。
でもthisには、会話の中でライトを当てるような役目があるので、初登場の話題や、今まさに見せたいものでは強い味方になります。
迷ったときは、頭の中でこう置き換えると分かりやすいです。
- it=「その件ね」
- this=「これなんだけど」
この違いが見えてくると、英語の文が急に人の会話らしく聞こえてきます。
まずは難しく考えすぎず、itは共有済み、thisは今見せる。この2本だけ、最初の基準にしておくのがおすすめです。
なぜ使い分けるの?心の距離感や意識の向け方の違い
「it」と「this」は、どちらも日本語ではつい「それ」「これ」で片づけたくなりますよね。
でも実際の英語では、相手と自分のあいだで、その話題がすでに共有されているか、それとも今ここで目立たせたいかで選ばれることが多いんです。
この違いがわかると、文法を暗記しなくても選びやすくなります。
迷ったときは「その内容はもう二人の頭の中にある?」と考えると、かなり整理しやすいですよ。
お互いの頭の中にすでにある共通の話題は「it」
まず押さえたいのは、「it」はすでに会話の中で居場所が決まっているものに使われやすい、ということです。
相手も自分も「ああ、あのことね」と分かっている状態なら、「this」より「it」がなじみます。
なぜかというと、「it」には新しく指し示す力よりも、共有済みの話題を自然に受け取る感じがあるからです。
たとえば、映画の話をしていて先に “The movie was long.” と出たあとなら、次に “It was interesting.” と言うのが自然です。
ここで “This was interesting.” としても通じる場面はありますが、「今その映画をあらためて取り上げます」という少し前のめりな響きが出ます。
つまり「it」は、会話の流れを止めずに進める言葉なんです。
日常会話だと、天気・時間・曜日のように、わざわざ対象を見せなくても通じる内容にもよく使われます。
- It’s raining.
- It’s late.
- It was fun.
このあたりは、日本語に直すと「雨が降ってる」「遅いね」「楽しかったね」くらいの軽さです。
英語学習ではここで「it=それ」と機械的に覚えてしまいがちですが、それだとズレます。
むしろ「もう説明しなくていい話題を受ける言葉」と見たほうが、会話では役立ちます。
ぼくも学習者の英文を見ると、目の前の物を何でも「it」にしてしまうことが多いのですが、相手の注意を向けたい場面では少しぶっきらぼうに聞こえることがあります。
共有済みなら「it」、ここを軸にするとかなり安定します。
新しく登場した話題や目の前にある新鮮な情報は「this」
一方の「this」は、今まさに相手に見てほしいもの、聞いてほしいものへ意識を集めるときに向いています。
まだ会話の中心になっていない内容を出すとき、「これなんだけど」と差し出す感覚が強いんですね。
たとえば手に持った資料を見せながら “This is my report.” と言えば、目の前の物に相手の視線を集められます。
初対面で “This is Ken.” と人を紹介するのも同じで、新しく相手に認識してもらう対象だからです。
直前に思いついたことや、今話し始める内容にも「this」はよく使われます。
- This is a good idea.
- Listen to this.
- This is what I mean.
どれも「今からこれに注目してね」という温度があります。
ここで大事なのは、物理的に近い物だけが「this」ではないことです。
話の中で新しい、気持ちの上で近い、今この瞬間に強く意識している。そんな場合にも「this」が選ばれます。
逆に、目の前にあっても、もう十分共有された対象なら「it」が自然になることもあります。
たとえば机の上の書類を二人で見続けていて、しばらくその書類の話をしているなら、途中から “It needs one more check.” のように「it」で受けても不自然ではありません。
この切り替わりがわかると、英語っぽさがぐっと出ます。
| 観点 | it | this |
|---|---|---|
| 話題の状態 | すでに共有されている | 今から取り上げる |
| 相手への働きかけ | 自然に受ける | 注意を向けてもらう |
| 会話の印象 | なじんでいる | 少し前に出る |
通じるかどうかだけで選ぶと、ニュアンスの差を落としやすいです。
英語では「何を指すか」だけでなく、「どう見せたいか」まで単語に乗ります。
だからこそ、「it」と「this」の違いは語彙の問題というより、会話の空気の作り方なんです。
新しく見せるなら「this」、もう共有できているなら「it」。この順で考えると、かなり迷いにくくなります。
例文でスッキリ理解する会話や文章での具体的な使われ方
「意味はわかったけれど、会話になると迷う」という場面、ありますよね。
ここでは文法用語よりも、その場で相手にどう聞こえるかを軸に見ていきます。
同じ「それっぽい」内容でも、すでに共有されているものなら it、今ここで相手の注意を向けたいなら this と考えると、かなり判断しやすくなります。
自己紹介や電話のシーンで使うときの違い
電話は、it と this の違いがいちばん見えやすい場面です。
先に答えを言うと、名乗るときはふつう “This is 〜.” を使います。
相手はまだ「誰が話しているか」を共有していないので、自分という情報を今ここで差し出す感覚があるからです。
たとえば、会社に電話をかけて「田中です」と言いたいなら、This is Tanaka. が自然です。
一方で It is Tanaka. とはあまり言いません。
文法的に完全な誤りとまでは言えなくても、少なくとも日常会話ではかなり不自然に聞こえます。
相手の耳には、「田中という情報だけを事務的に当てはめた」ような響きになりやすいんです。
| 場面 | 自然な言い方 | 感覚 |
|---|---|---|
| 電話で名乗る | This is Sato speaking. | 今話しているのは私です |
| 玄関で名乗る | This is Ken. | 目の前の私に注目してほしい |
| 音や人物を識別する | It’s Ken. | あ、それはケンだ |
最後の行は大事な違いです。
たとえば着信音のあとで相手の声を聞いて、「あ、ケンだ」と判別したなら It’s Ken. が自然になります。
この it は「電話の相手」「その声」「その人物」のように、すでに何かが存在していて、それが誰かを当てている感覚です。
同じ名前が入っていても、This is Ken. は自分から名乗る言い方、It’s Ken. は相手や状況を見て判別する言い方、と分けると頭が整理しやすいでしょう。
自己紹介でも似ています。
初対面で “Hi, I’m Ken.” が最もよく使われますが、少しかしこまった場面や電話では “This is Ken.” がしっくりきます。
英語学習者は日本語の「〜です」に引っぱられて it を選びがちですが、ここは名乗る場面では this を思い出すのが安全です。
直前に話した内容全体を指して「それはね」と言うときの違い
会話で迷いやすいのが、物ではなく「今話した内容」を受けるときです。
この場合は、it と this のどちらも使われます。
ただし、聞こえ方は少し変わります。
it は共有済みの話題として受ける感じ、this は今の発言をひとまとまりの話として取り上げる感じです。
たとえば相手が長めの説明をしたあとで、「それ、いい考えだね」と返すなら、It’s a good idea. でも This is a good idea. でも意味は通ります。
でも自然さで見ると、ふつうは前者のほうがなじみます。
すでに共有された内容として、落ち着いて評価している響きになるからです。
反対に、相手が今まさに見せた提案書や、言ったばかりの一言をつかまえて「これは大事だよ」と前に出すなら、This is important. がよく合います。
- 相手の説明を受けて感想を言う:It sounds great.
- 今出てきた案を取り上げる:This sounds great.
- 直前の発言を強く受ける:This is what I wanted to hear.
英語の会話では、this は「今のその話、ちょっとここで取り上げたい」という温度が出やすいです。
そのため、会議や打ち合わせでも “This is the key point.” のように言うと、聞き手の視線を一度集める感じが生まれます。
一方で “It is the key point.” だと、文としては成立しても少しかしこまって見えたり、文脈次第では重く感じたりします。
ここは学校英語では拾いにくい差ですが、実際の会話ではかなり効きます。
迷ったら、次の目安で十分です。
| 言いたいこと | 選びやすい語 | 理由 |
|---|---|---|
| さっき話した内容をそのまま受ける | it | もう共有されているため |
| 今の発言を取り上げて強調する | this | 相手の注意を集めたいため |
| 目の前の資料・案・状況を示す | this | その場で指し示す感覚が強いため |
「どっちでも通じるなら気にしなくていいのでは」と思うかもしれません。
たしかに通じる場面はあります。
でも、it を使うと会話がなじみやすくなり、this を使うと話題を前に出せます。
この小さな差で、英語が「単語を置いただけ」から「会話として自然」に変わっていくんです。
最初は、電話で名乗るときの this と、会話を受けるときの it。この2つだけ押さえれば十分ですよ。
どちらを使うか迷ったときに見直したい3つの判断基準

会話の途中で「あ、ここはitかな、それともthisかな」と止まる瞬間、ありますよね。
そんなときは文法用語を思い出すより、相手の頭にもうある話か、いま目の前に出した話か、そして近いか遠いかの2点を見るとかなり選びやすくなります。
この3つの基準は、英会話のスピードにそのまま乗せやすいのがいいところです。
相手の頭の中にそのモノが浮かんでいるかで判断する
まず一番使いやすい判断基準は、相手の頭の中にその対象がもう共有されているならit、いま新しく取り上げるならthisと考えることです。
itは「もう分かってるよね、その話ね」という温度で使われやすく、thisは「いまこの話を見て」「これなんだけど」と相手の注意を向ける感じがあります。
たとえば、机の上にある資料を手に取って話し始めるなら This is the report I told you about. が自然です。
まだ報告書そのものを相手に見せていないので、まず「これ」と差し出している感覚ですね。
そのあと中身について話し始めたら、It has three main points. のようにitへ移りやすくなります。
最初にthisで舞台に上げて、その後はitで話を続ける流れです。
この切り替えを意識すると、会話がかなり自然になります。
| 場面 | 選びやすい語 | 感覚 |
|---|---|---|
| 初めて話題に出す | this | 「これなんだけど」 |
| すでに共有済みの話を続ける | it | 「その件ね」 |
| 相手に注意を向けさせたい | this | 話題を前に出す |
迷ったら、頭の中で「これ見て」と言いたいのか、「その話ね」と言いたいのかを日本語で一瞬置き換えると判断しやすいでしょう。
物理的・時間的な距離が「近い」かどうかで判断する
次に見るのは距離です。
thisは物理的に近いもの、時間的に近いことに使われやすく、itは距離よりも「すでに分かっている対象」を受ける役が強いので、ここで差が出ます。
たとえば手元のスマートフォンを見せながら「これは会社用です」と言うなら、最初は This is my work phone. がしっくりきます。
目の前にある物をその場で指しているからです。
そのあと「電池の減りが早いんです」と続けるなら、It runs out of battery quickly. と言う流れになりやすいです。
時間についても同じで、いま起きたこと、いま話題にしたいことにはthisがよく出ます。
会議直後に This was helpful. と言えば、「今の話、今のやり取りは助かりました」という近さが出ます。
一方で、すでに会話の中で固まっている内容を受けるならitが安定です。
ここで大事なのは、近いなら必ずthisになるわけではないことです。
目の前にある物でも、会話の中ですでに共有された後ならitに変わることは普通にあります。
つまり距離だけで決め切るのではなく、共有済みかどうかを先に見て、距離感で微調整すると失敗しにくいです。
英語学習ではこの順番がかなり効きます。
「that」も含めた3つの距離感で整理してみる
itとthisで迷うなら、thatも一緒に並べて覚えると整理しやすくなります。
3つを別々の単語として暗記するより、距離感のセットで持っておくほうが会話で取り出しやすいんです。
| 語 | 基本の感覚 | よくある場面 |
|---|---|---|
| this | 近い・いま出す | 手元の物、今の話題、導入 |
| that | 遠い・少し引いて見る | 相手の近くの物、過去の話、少し距離を置く言い方 |
| it | 共有済み・受ける | 前に出た話題、状況、天気や時間の表現 |
たとえば同僚が少し離れた場所で持っている資料なら、That looks useful. となりやすいです。
自分の手元にある資料を見せるならthis、少し離れた資料ならthat、その資料の内容を続けて話すならit、という流れですね。
この並びで覚えると、頭の中がかなりすっきりします。
もうひとつ大事なのは、文脈によってはどちらでも通じる場面があることです。
ただ、thisを使うと話題を前に出す感じがあり、thatを使うと少し距離を置いた響きになり、itはすでに処理済みの話を受ける印象になります。
通じるかどうかだけで選ぶと、毎回少し不自然さが残ります。
迷ったら次の順で考えてみてください。
- 初登場ならthisかthatを考える
- 近ければthis、遠ければthatを当てる
- 一度話題に乗ったらitで受ける
この3手順なら、会話中でも数秒で判断できます。
実際、英語が止まりやすい人ほど「まず共有済みか」を見ずに日本語の「それ」で考えてしまいがちです。
逆にここが整うと、itとthisの違いは急に難しくなくなります。
迷ったときの合言葉は、出すならthis、離すならthat、受けるならit。この形で持っておくと、口から出しやすいですよ。
日本人が間違えやすい注意ポイントと自然に身につけるコツ
itとthisの違いは、文法の知識より「相手にどこへ目を向けてほしいか」で考えると、かなり迷いにくくなります。
日本語だと「それ」で広く済ませられる場面でも、英語では「もう共有済みの話なのか」「今ここで取り上げる話なのか」で言い分けることが多いんです。
このズレを放置すると、文法は合っているのに少しだけ不自然、という状態が続きやすいので、まずは日本人がつまずきやすい点から見ていきましょう。
日本語の「それ」の感覚で「it」を使いすぎてしまう落とし穴
いちばん多い失敗は、日本語の「それ」をそのまま英語のitに置き換えてしまうことです。
英語のitは便利な単語ですが、基本はすでに話題として共有されているものを受ける感覚が強めです。
そのため、目の前の物を見せながら初めて話すときや、今この瞬間に相手へ注意を向けたいときまでitを使うと、意味は通じても、少し温度の低い言い方になりやすいんですね。
たとえば、手元の資料を相手に見せて「これ、今日の案です」と言いたい場面なら、This is today’s proposal.のほうが自然です。
It is today’s proposal.でも文法上は成り立つ場合がありますが、「何のことかもう分かっているよね」という前提がにじみます。
会話の出だしでその前提がないと、相手は一瞬だけ頭の中で探すことになります。
間違えやすい場面を整理すると、こんな分け方になります。
| 場面 | 自然になりやすい語 | 理由 |
|---|---|---|
| 目の前の物を差し出す | this | 今ここで注目してほしいため |
| すでに会話に出た物を受ける | it | 共有済みの話題を受けるため |
| 新しい話題を持ち出す | this | これから取り上げる感じが出るため |
もうひとつ、メールや会議で起きやすいのが、前の文全体を受けるときの迷いです。
たとえば「納期が1週間延びます。それは問題です」と言うなら、This is a problem.のほうが自然なことが多めです。
直前の内容を、ひとかたまりの新しい情報としてつかんでいるからです。
逆に、その問題についてすでに話し続けていて、「それは大きな問題ではない」と受けるならitも使いやすくなります。
「とりあえずitで逃げる」と、会話の入口で不自然になりやすい。ここは覚えておくと助かります。
目安としては、英語を口に出す直前に「相手はもう頭に思い浮かべているかな」と3秒だけ確認することです。
このひと呼吸があるだけで、itの使いすぎはかなり減ります。
英語の音声に触れてネイティブの距離感を耳から取り入れる方法
使い分けを身につける近道は、ルールを増やすことより、短い音声で反復して耳に入れることです。
itとthisの差は辞書の説明だけだと平たく見えますが、実際の会話では声の出し方や間の取り方まで含めて覚えたほうが残ります。
たとえば This is my seat. は「今ここ」を示す感じで出やすく、It’s my seat. は流れの中で受ける響きになりやすいものです。
文字だけ追っていると、その差が頭に入りにくいんです。
おすすめは、15秒から30秒ほどの短い会話音声を使うやり方です。
映画を長く見る必要はありませんし、通勤中に1本だけでも十分です。
- まず字幕つきで聞く
- thisとitが出た瞬間に一時停止する
- なぜその語なのかを一言で説明する
- 同じ速さで1回まねして読む
この4手順なら、1本あたり3分前後で終わります。
続けやすいですし、頭だけで考える癖も減っていきます。
音声を選ぶなら、電話、買い物、職場の雑談のように場面がはっきりしているものが向いています。
場面が見えると、「共有済みだからit」「今見せたからthis」と結びつけやすいからです。
反対に、単語帳の例文をばらばらに眺めるだけだと、距離感が育ちにくいことがあります。
耳から覚えるときは、自分でも小さく声を出すのが大事です。
黙読だけより、口を動かしたほうが切り替えの感覚が残りやすいですし、次に同じ場面が来たとき、考える前に口から出やすくなります。
最初の1週間は、1日3文で十分でしょう。
少ないと感じるかもしれませんが、thisとitの差は量より反復です。
「この場面ならどっちだろう」と毎回1秒迷えるようになると、感覚が育ってきた証拠です。
丸暗記より遅く見えても、そのほうが会話で崩れにくいですよ。
まとめ:itとthisの違いをマスターして英会話をもっと楽しみましょう
itとthisの違いは、単なる言い換えではなく、相手と自分のあいだでその話題がどれくらい共有されているか、どこに意識を向けたいかで決まります。
すでに共通認識になっている「それ」ならit、今ここで見せたい「これ」ならthisという感覚を持つと、会話の流れがぐっと自然になります。
日本語の「それ」に引っぱられてitを選びすぎないこと、そして迷ったら距離感を見直すこと。この2つを意識するだけでも、使い分けの迷いはかなり減るはずです。
次に英語を話すときは、短い一文でいいので「これはthisかな、itかな」と立ち止まってみてください。電話の受け答えでも、身の回りの物を指す場面でも、小さく試すほど感覚が育っていきます。声に出して使うと定着しやすいので、今日のうちに例文をひとつ口にして、自分の言葉として動かし始めましょう。

